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中国KOL・ライブコマース運用の実務 — 予算の組み方・KOL選定・成果の測り方

更新 約14分で読めます監修:株式会社エフカフェ 越境EC事業部

この記事の要点

KOLライブの運用は、費用を分解して費比を出し、粗利率で利益が残るかを最初に確かめます。

  • 費比:腰部以上では少なくとも35%と報じられ、その他費用15%なら粗利率50%前後で利益はほぼ残りません。
  • 選び方:垂類・客層・実データ・返品率・資質・報備の6基準で選び、フォロワー数だけで決めません。
  • 成果の測り方:返品前の自己申告GMVだけで判断せず、返品後の実売と復購率で測ります。

費比の数字は、投中網が掲載した亿邦动力の記事によります。

中国でKOL(意見リーダー)にライブ販売を頼むときの費用は、主に「坑位費(枠代)・佣金(成果報酬)・投流(広告費)」などで構成されます。これらを、その配信で売れた金額(成交額)で割った比率が「費比(fèibǐ・フェイビー)」で、腰部以上のKOLに依頼すると少なくとも35%、商家によっては50%を超えた例も報じられています(出典:投中網が掲載した亿邦动力の記事1、2025年7月)。同じ記事の試算では、粗利率50%前後の商品で費比が35%、手数料や配送などその他の費用が15%なら、手元にはほとんど残りません。運用の要点は、費用の構造を分解して把握し、KOLを正しい基準で選び、成果を「口径(集計の基準)」まで踏み込んで測ることに尽きます。

本記事は、実際に運用する際の実務に絞って解説します。KOLの定義やKOCとの違いはKOLとは?意味・KOCとの違い、ライブコマースの全体像は越境ライブコマース完全ガイドで扱っているため、ここでは「概念は分かった、では実際どう運用し、いくらかけ、どう測るのか」を整理します。数値は年度・カテゴリ・交渉によって変わり、多くは業界関係者の証言を報じたものです。公式の固定料率ではなく、相場観としてお読みください。

運用費用は何でできているか — 坑位費・佣金・投流と「費比」

坑位費と佣金と投流の合計を成交額で割った費比は腰部以上で少なくとも35%と報じられ、まずこの比率を握ります。

KOL・ライブコマースの費用は、主に3つの要素に分解できます。この構造を理解しないまま「1回いくら」で発注すると、成果が出ても手元に利益が残らない、という事態になりがちです。

費用の種類中身性格
坑位費(kēngwèifèi・ケンウェイフェイ)ライブ配信の「枠代」。1商品を紹介してもらうための固定費売れても売れなくても発生する固定費
佣金(yōngjīn・ヨンジン)売れた金額に対して支払う成果報酬(手数料)成果連動の変動費
投流(tóuliú・トウリウ)ライブ配信への集客を買う広告費(流量購入)露出を伸ばすための追加投資

この3つの合計を、その配信で売れた金額(成交額)で割ったものが「費比」です。この記事は、返品・返金を差し引いた売上(GSV)とは分けて扱っています。投中網が2025年7月に掲載した亿邦动力の記事によると、腰部以上のKOLに依頼する場合の費比は少なくとも35%で、3年でおよそ3倍になりました。一部の商家では50%を超えたこともあり、食品・美妆・服飾などの業種で起きているといいます。ここに、プラットフォーム手数料(扣点)や返品対応・配送費が加わります。同じ記事は、粗利率50%前後の商品で費比35%、その他の費用が15%なら、商家にはほとんど利益が残らないと試算しています(出典:投中網)。運用で最初に握るべきは「1回の費用」ではなく「費比が何%に収まるか」です。

坑位費・佣金・投流と「費比」。この3つの合計を、その配信で売れた金額(成交額)で割ったものが「費比」です。腰部以上のKOLに依頼すると少なくとも35%。同じ記事の試算では、粗利率50%前後の商品で費比が35%、手数料や配送などその他の費用が15%なら、手元にはほとんど残りません。

KOLの費用相場 — 頭部・腰部・尾部で坑位費と佣金はどう違うか

頭部の専場はおおむね100万〜300万元、佣金は大牌の美妆で8〜15ポイントと証言され、数字は単位を確かめて読みます。

坑位費は、KOL(主播)のフォロワー規模=「頭部・腰部・尾部」で桁が大きく変わります。ただし公開されている数字は、ほとんどが業界関係者の証言を報じたものです。1商品の枠代なのか、1回の配信を貸し切る「専場」の費用なのかで桁が違うため、数字を見たら単位を確かめます。報道で確認できた目安は次のとおりです。

KOLの階層坑位費の目安使いどころ
頭部(トップ)専場(1回貸切)でおおむね100万〜300万元と業界関係者が説明(出典:投中網、2025年)。李佳琦の1商品の枠代は4.24万〜8.48万元という証言もある(下記)認知の起爆・大量在庫の一気消化
腰部(中堅)最近の相場を示す一次資料は確認できなかった。見積もりは複数社から取って比べるカテゴリ特化の信頼獲得
尾部(小規模)同上。枠代を抑えた代わりに成果が出ない例も報じられている(出典:界面2、2020年)数を束ねた継続的な露出・種草

参考として、大手主播・李佳琦の坑位費は1商品あたり平日4.24万元・祝日6.36万元・大促8.48万元だったと、取引のある食品商家が証言しています(出典:新浪财经3、2024年12月)。一方、佣金(成果報酬)はカテゴリで大きく異なります。南方都市報が取材したブランド関係者によると、大手の有名ブランド(大牌)の美妆は一般に8〜15ポイントで、大牌ほど低くなります。中国国内ブランド(国货)は高いと30〜40ポイント、50ポイント以上もあり得て、一部の国货美妆では50%〜70%に達するという証言もあります(出典:南方都市報4、2024年12月)。ここが運用上の重要点です。李佳琦と取引した美妆ブランドも「国货美妆の佣金率は国際ブランドより総じて高い」と証言しています(出典:新浪财经、2024年12月)。証言は「大牌ほど佣金が低い」というもので、知名度の低いブランドが同じ条件になるとは限りません。見積もりの段階で佣金率を比べて確かめます。

予算の組み方 — 「達人一発」でなく認知・刈り取り・継続に配分する

抖音では店播のGMVが2年続けて達人播を上回っており、予算は種草と店播と会員施策の3層に分けて置きます。

予算配分の原則は、頭部KOL1回に大きく賭けるのをやめ、「認知・刈り取り・継続」の3層に配分することです。抖音では、2024年に百万フォロワー超の達人による配信がGMV全体に占める割合は約9%だったと、36氪が関係者の話として報じています(出典:騰訊新聞に転載された36氪の記事5)。店播(ブランド自社ライブ)のGMVは、2年続けて達人播(KOLによる配信)を上回ったとされます(出典:CBNData6)。少なくとも抖音では、達人一発に頼る形から離れる流れが数字に表れています。

  • 認知(種草):小紅書(RED)で垂類(ジャンル)の合う腰部・KOCを束ねて認知をつくる。頭部の高額枠に張らない。広告であることの申告(報備)を行う。
  • 刈り取り:達人ライブは「認知の起爆」に限定投資し、成交と利益は自社の店播(店舗・ブランドが自ら運営するライブ配信。天猫国際の店舗でも行える)で刈り取る。
  • 継続:会員基盤とリピート(復購)でLTVを積む。大促は「順位」でなく「利益・復購」で評価する。

配分のイメージとしては、頭部KOLの単発大枠に全額を投じるのではなく、種草の運用・店播の運用人件費・会員施策に分けて置くのが現実的です。認知づくりの場の一つである小紅書の使い方は企業向けRED(小紅書)マーケティング完全ガイドで詳しく解説しています。

KOLをどう選ぶか — 選定の6基準とチェックリスト

垂類と客層の一致、口径付きの実データ、返品率、資質、報備の運用で選び、フォロワー数だけでは決めません。

KOL選定でフォロワー数だけを見るのは危険です。フォロワーが多くても自社カテゴリと客層が合わなければ、坑位費だけ払って売れないという結果になります。実務で確認すべき基準は次の6つです。

基準確認すること
①垂類の一致そのKOLの主戦場が自社カテゴリ(美妆・健康食品・食品等)と一致しているか。ジャンルが合わない配信者では、視聴者がいても購入につながりにくい
②客層の一致フォロワーの年齢・地域・購買力が自社のターゲットと合うか。高単価スキンケアなら購買力のある層か
③実データの開示過去配信のGMV・視聴数・転換率・客単価を、口径(返品前か後か)付きで見せてもらえるか
④返品率そのKOLの配信の平均返品率。返品率はカテゴリで大きく違う。返品が多いと、成交額で見た費比より実際の負担は重くなる
⑤資質・コンプラ配信者の実名確認や、販売する事業者側の許可・資質の確認ができているか。虚偽宣伝・過度な表現を避ける配信姿勢か
⑥報備の運用広告投稿を正規に申告(報備)しているか。小紅書なら、ブランドと発信者をつなぐ公式の蒲公英プラットフォームを通しているか

とくに③の「実データを口径付きで出せるか」は、パートナーを見極めるうえで当社が重視している点です。GMVだけでは、返品後に利益が残るかどうかが分からないためです。

契約時に確認すべきこと — 坑位費・佣金・成果保証・報備

費用の内訳と費比の想定、成果保証のGMVが返品前か後か、報備を正規に行う前提を契約時に確認します。

契約前に握るべきは、費用の「合計」ではなく「内訳と条件」です。坑位費・佣金・投流を分けて明記し、成果の定義と返品の扱いまで文面で確定しておくと、後のトラブルを避けられます。次の点は確認しておきます。

  • 費用の内訳と費比の上限:坑位費・佣金率・投流の想定額を分けて記載し、費比が何%に収まる想定かを共有する。
  • 成果保証(保GMV・保ROI)の定義:「最低GMVを保証」等の条件がある場合、その数字が返品前か返品後か、未達時の補填(枠の追加配信か返金か)まで明文化する。返品前GMVの保証は実売を保証しない点に注意。

加えて、広告投稿の報備(bàobèi=広告申告)を正規に行う前提を契約に含めます。中国では2026年2月1日に「直播电商监督管理办法」(国家市場監督管理総局・国家網信弁の令第117号)が施行され、虚偽や誤解を招く宣伝への規制が強まりました。同じ弁法は、AIで生成した人物の画像・映像(数字人)で配信する場合、規定に従って標識を付け、AIによる生成であることを消費者に示し続けることを直播間(ライブ配信の場)の運営者に求めています(出典:中国互联网法务網に掲載の弁法全文7)。表示の運用まで任せられる体制かどうかも、パートナー選びで確かめます。

成果をどう測るか — GMV・ROIの「口径」に注意する

発表されるGMVは注文時で返品前のことがあるため、返品後の実売で費用比率とROIを計算し直して評価します。

成果指標で最も注意すべきは、同じ「GMV」でも集計の基準(口径)がまるで違うことです。プラットフォームや主播が発表するGMVには、下单(注文時)・返品前の総額のものがあり、返品を差し引いた実売とは差が出ます。数字を受け取ったら、まず口径を確認します。

見るべき指標確認する口径・意味
GMV(成交額)注文時か決済後か、返品前か返品後か。返品前の数字のこともある
実売(返品後の売上)返品・返金を差し引いた実際の売上。業界ではGSVとも呼び、年間契約で配信者に保証させる目標をこの実売で決める例もある(出典:投中網)
ROI(投資対効果)分子が返品前GMVだと過大評価になる。返品後・利益ベースで再計算する
費比(坑位費+佣金+投流)÷成交額。腰部以上のKOLでは少なくとも35%という報道がある(出典:投中網)。返品の多い商材は、同じ費用を実売で割った「返品後の費用比率」も並べて見て、粗利率と比べて利益が残るかを確かめる
復購率・LTV単発の順位より、リピートと顧客生涯価値。継続的に積み上がるか
GMV・ROIの「口径」に注意する。発表するGMVには、下单(注文時)・返品前の総額のものがあり、返品を差し引いた実売とは差が出ます。費比は(坑位費+佣金+投流)÷成交額。返品の多い商材は、同じ費用を実売で割った「返品後の費用比率」も並べて見る。

運用の目的が「一時的な順位」なのか「利益とリピート」なのかで、見るべき指標は変わります。日本の中堅ブランドにとっては、大促の瞬間最大GMVよりも、返品後の実売、費比と返品後の費用比率、復購率で評価するほうが、長期的に事業として成立します。派手な自己申告GMVに引っ張られないことが、運用の規律です。

よくある失敗パターン

頭部一発依存、費比50%超の赤字の出稿、返品前GMVを実売と誤認する口径の錯覚の3つが典型です。

運用でつまずく型として、費用構造と口径を握らないまま発注することから起きるものを3つ挙げます。

  • 頭部一発依存:有名主播1回に予算を集中させ、坑位費と高い佣金で費比が跳ね上がる。2024年の618では、抖音の広東夫婦・琦儿・潘雨润らの大促中の初回ライブの売上が前年より7割以上減ったと報じられた(出典:钛媒体8が引用した飞瓜数据)。一発に頼るほど、こうした変動の影響を受けやすい。
  • 赤字の出稿:売上の数字やランキングを取りにいって費比が50%を超え、売れても利益が残らない。費比が50%を超えた商家の例は報じられており(出典:投中網)、佣金の高い商材ほど起きやすい。

3つ目は「口径の錯覚」です。自己申告の返品前GMVを実売と誤認し、実際は返品と費比で赤字になっているのに「成功」と評価してしまう型です。これを避けるには、前章の口径確認を発注前の必須手順にすることです。外部の配信者は認知を広げる場面に絞って使い、自社の店播と種草・会員で売上と顧客を積み上げる形も選択肢になります(当社の考え方です)。

まとめ

中国のKOL・ライブコマース運用は、費用を坑位費・佣金・投流に分解し、その合計を成交額で割った費比が、自社の粗利率で利益の残る水準に収まるかを最初に確かめることが出発点です。返品の多い商材は、実売で割った費用比率も合わせて見ます。腰部以上のKOLでは費比が少なくとも35%になるという報道があり、粗利率50%前後の商品でその他の費用が15%かかれば、利益はほとんど残りません。KOLはフォロワー数でなく垂類・客層・実データ・返品率・資質・報備の6基準で選び、契約では内訳と成果の口径を文面で確定します。成果は返品前の自己申告GMVだけでなく、返品後の実売と復購率で測ります。

そして予算は「達人一発」でなく、認知(小紅書での種草)・刈り取り(自社の店播)・継続(会員とリピート)の3層に配分するのが、市場の構造転換に沿った順張りです。有名ブランド(大牌)ほど佣金が低いという証言はありますが、知名度によって条件は変わります。KOLの基礎概念はKOLとは?意味・KOCとの違い、ライブコマースの全体像は越境ライブコマース完全ガイドで解説しています。

よくある質問

中国のKOLに1回依頼すると費用はいくらかかりますか?

坑位費(枠代)は主播のフォロワー規模で大きく変わります。頭部の主播に1回の配信を貸し切る「専場」は、おおむね100万〜300万元と業界関係者が説明しています(出典:投中網、2025年)。李佳琦の1商品の枠代は平日4.24万元という証言もあります(出典:新浪财经、2024年)。腰部・尾部の最近の相場は今回確認できなかったため、複数社の見積もりで確かめてください。これに加えて売上連動の佣金(成果報酬)と、集客用の投流(広告費)がかかります。

KOLの佣金(手数料)の相場は何%ですか?

カテゴリで大きく異なります。ブランド関係者の証言では、大手の有名ブランド(大牌)の美妆は一般に8〜15ポイント、中国国内ブランド(国货)は高いと30〜40ポイントで、一部の国货美妆は50%〜70%に達するとされます(出典:南方都市報、2024年12月)。条件はブランドの知名度によって変わるため、複数の配信者の見積もりで比べてください。

ライブコマース運用が「赤字」になるのはなぜですか?

坑位費・佣金・投流の合計を売上で割った「費比」が高くなりすぎるためです。腰部以上のKOLでは費比が少なくとも35%になり、50%を超えた商家もあると報じられています。同じ記事の試算では、粗利率50%前後の商品で費比が35%、手数料や配送などその他の費用が15%なら、利益はほとんど残りません(出典:投中網)。

KOLを選ぶとき、フォロワー数以外に何を見ればよいですか?

垂類(ジャンル)と客層が自社商材と一致しているか、過去配信のGMV・転換率・返品率を口径付きで開示できるか、実名や営業許可などの資質があるか、広告投稿を正規に申告(報備)しているか、を確認します。フォロワー数が多くてもカテゴリと客層が合わなければ、坑位費だけ払って売れないという結果になりがちです。

成果報告のGMVはそのまま信じてよいですか?

口径(集計の基準)の確認が必要です。発表されるGMVには注文時・返品前の総額のものがあり、返品後の実売とは差が出ます。ROIや費用比率を確かめるときは、成交額で割った値に加えて返品後の実売で割った値も出し、単発の順位より復購率・LTVで評価するのが実務上安全です。

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