中国越境EC規制・審査
中国越境ECの規制を完全ガイド!法律・EC法・リスク対策
この記事の要点
越境ECは、一般貿易で必要な注册・備案なしで販売できる代わりに、中国側で果たす義務が別にあります。
- 越境ECの義務:消費者へのリスク告知、三単の送信、国内の委託先、食品の回収体制が必要です。
- 税金:越境EC小売輸入として扱われると「越境EC総合税」がかかり、1回5,000元・1人あたり年間26,000元の範囲内なら関税が0%、増値税と消費税は本来の税額の70%になります。
- 広告は別:注册・備案なしで売れても、「保健食品」として広告し保健機能をうたえるわけではありません。
- 違反のリスク:罰金の上限は法律と違反の内容で大きく異なり、ポジティブリストに載っていない商品は越境ECのルートでは通関できません。
- 規制の変化:電子商務法の改正案は意見の募集を終え、改正の内容と時期は今後の手続きで決まります。2026年には食品の回収ルールも加わりました。
巨大な中国市場への進出は、多くの日本企業にとって大きなチャンスです。その有効な手段として「越境EC」が注目されていますが、成功のためには中国独自の法律や規制を正しく理解することが欠かせません。
「何から調べればいいかわからない」「知らないうちに法律違反をしてしまったらどうしよう」といった不安を抱えていませんか?
この記事では、中国向け越境ECを始める前に知っておきたい主要な法律、特にビジネスへの影響が大きい「中国EC法(電子商務法)」の内容、そして規制違反のリスクまでを整理します。とくに大事なのは、越境EC(個人輸入として扱われる小売輸入)と一般貿易とでは、必要な許認可が大きく違うという点です。この違いを押さえておくと、規制の全体像がずっと見通しやすくなります。
中国越境ECで押さえておくべき4つの法律
電子商務法、製品品質法、広告法、消費者権益保護法の4つが、登録や品質責任、広告表現、返品のルールを定めています。
中国で越境EC事業を行ううえで、最低限押さえておきたい法律が4つあります。それぞれの法律が何を定めているのか、概要を把握しましょう。
| 法律 | 定めていること | 越境ECで押さえる点 |
|---|---|---|
| 電子商務法(EC法) | EC取引全般のルール。登録、納税、情報開示、消費者保護などの義務 | 越境ECの事業者にも、輸出入の監督管理に関する法令を守ることを求める(第26条)。改正案は意見の募集を終え、内容と時期は今後の手続きで決まる |
| 製品品質法 | 製品の品質と安全性に関する責任 | 健康や安全を損なうおそれのある工業製品は、国家基準・業界基準を満たす(第13条)。リスク告知で品質責任は免除されない |
| 広告法 | 虚偽・誇大広告の禁止と、広告表現の規制 | 「国家級」「最高級」などは使えない(第9条)。保健食品の広告は、出す前に審査を受ける(第46条) |
| 消費者権益保護法 | 消費者の権利の保護 | 通信販売の商品は、受け取ってから7日以内なら理由を問わず返品できる(第25条)。注文生産品、生鮮品などは対象外 |
中国電子商務法(EC法)
2019年1月1日に施行された、EC取引全般のルールを定めた基本法です。対象となる「EC事業者」には、プラットフォームの運営者、プラットフォームに出店する事業者に加え、自社サイトやSNSなど他のネットサービスを通じて商品を売る個人・法人も含まれます。登録、納税、情報開示、消費者保護などの義務を定めており、中国のEC全体のルールの土台になる法律です。越境ECを行う事業者には、輸出入の監督管理に関する法令を守ることも求めています(第26条)。
なお、市場監管総局と商務部は2026年7月4日に、この法律の改正案(意見募集稿)1を公表し、意見の募集を始めました。意見の募集は2026年8月4日に締め切られました。プラットフォームの責任の強化や法律が対象とする範囲の拡大などが柱とされています。改正の内容と時期は今後の手続きで決まるため、動向を追っておく必要があります。
製品品質法
製品の品質と安全性に関する責任を定めた法律です。人の健康や安全を損なうおそれのある工業製品は、それを守るための国家基準・業界基準を満たす必要があります(第13条)。基準を満たさない製品を生産・販売すると、生産・販売の停止命令、製品の没収、罰金の対象になり(第49条)、製品の欠陥で人や財産に損害が出た場合は、生産者が賠償責任を負います(第41条)。越境ECの商品については、「原産国の基準には合っているが、中国の基準とは違う場合がある」ことを購入前に消費者へ告知する仕組みがあります(後述の486号通知)。ただし、この告知で輸入禁止・制限や安全規制、事業者の品質責任が免除されるわけではありません。486号通知は、越境EC事業者に商品の品質・安全の主体責任を負わせています。
広告法
虚偽・誇大広告を禁止し、広告表現を細かく規制する法律です。「国家級」「最高級」「最佳(ベスト)」といった言葉は使えません(第9条)。健康食品の広告では、効果や安全性を断言・保証すること、病気の予防・治療にふれること、医薬品や他の健康食品と比べることなどが禁じられています(第18条)。第9条に違反した広告主には20万元以上100万元以下の罰金が科されます(第57条)。また、保健食品の広告は、出す前に審査を受ける必要があります(第46条)。
消費者権益保護法
消費者の権利を守るための法律です。ネット・テレビ・電話・通信販売で売った商品は、消費者が受け取ってから7日以内であれば理由を問わず返品できると定めています(第25条)。ただし、注文生産品、生鮮品、開封済みのデジタル商品などは対象外です。商品やサービスについての正確な情報提供も義務づけています。
「中国EC法」が事業に与える影響
日本企業は海外登記のまま越境EC企業として売れますが、国内企業1社への委託、納税、情報開示などの義務を負います。
数ある法律の中でも、EC事業者に直接かかわるのが「中国電子商務法(EC法)」です。ここでは、日本の事業者が押さえておきたい3つのポイントを解説します。
対象事業者と登録の義務
EC法は、EC事業者に市場主体としての登録(日本でいう営業許可・登記にあたるもの)を求めています(第10条)。ただし、個人が自家製の農産物を売る場合や、少額の取引などは例外です。
日本企業が天猫国際などの越境ECプラットフォームで売る場合は、中国に法人を作って登録するのではなく、海外で登記した企業のまま「越境EC企業」として販売します。そのかわり、商務部など6省庁の通知(商財発〔2018〕486号)により、中国国内で登記した企業1社に委託して税関への登録と申告を担わせることが求められます。プラットフォーム側も、出店する事業者の身元を審査します。
(参考:日本貿易振興機構(JETRO)「電子商務法成立、プラットフォーム経営者の義務と責任を規定」JETRO(日本貿易振興機構)2)
納税義務の明確化
EC法は、EC事業者が法律にしたがって納税する義務を負うことを明記しました(第11条)。プラットフォームの運営者は、出店者の身元情報を市場監督管理部門に、身元情報と納税に関する情報を税務部門に報告しなければなりません(第28条)。越境ECの商品にかかる税金については、次の章で説明します。
消費者保護と事業者の責任
EC法は、事業者に次のような責任を課しています。
- 情報開示の義務: 商品やサービスの情報を、全面的、真実、正確、かつタイムリーに開示する。架空の取引や偽のレビューで宣伝してはならない(第17条)。
- 知的財産権の保護: 知的財産権の保護などの義務を果たす(第5条)。偽物やコピー商品を販売しない。
- 個人情報保護: ユーザーの個人情報の収集・利用では、個人情報保護に関する法令を守る(第23条)。
- 抱き合わせ販売の規制: 別の商品・サービスを抱き合わせで売るときは、はっきり目立つ形で知らせ、最初から同意済みの選択肢にしてはならない(第19条)。
これらの責任を果たせない場合、罰則の対象となるだけでなく、消費者からの信頼を失うことにつながります。
直送モデルと保税区モデルの通関と税金
直送の9610と保税区の1210では、越境EC小売輸入の要件を満たして三単を照合し、1回5,000元以内などの上限内なら関税が0%になります。
5,000元1回の取引の上限
26,000元1人あたり年間の上限
0%上限内の関税
70%増値税と消費税(本来の税額に対して)
中国向け越境ECには、主に「直送モデル」と「保税区モデル」という2つの物流方式があります。税関の区分では、直送は「直購進口」(監管方式コード9610)、保税区は「網購保税進口」(同1210)と呼ばれます。どちらを選ぶかによって、通関や在庫の持ち方が変わるため、自社のビジネスに合った方式を選ぶことが重要です。
| 項目 | 直送モデル | 保税区モデル |
|---|---|---|
| 税関の区分 | 直購進口(監管方式コード9610) | 網購保税進口(同1210) |
| 発送のしかた | 日本の倉庫などから、注文の都度、国際郵便や国際宅配便で中国の個人消費者へ直接発送 | 中国国内の保税区にある倉庫で保管し、注文が入ったらそこから中国国内の消費者へ配送 |
| 税金 | 越境EC小売輸入ルートなら越境EC総合税 | 越境EC総合税(直送と同じ) |
| 税の優遇の上限 | 1回5,000元、1人あたり年間26,000元。範囲内なら関税0%、増値税と消費税は本来の税額の70%。1回5,000元を超えても、年間の上限内で注文が1点だけなら輸入できるが、関税・増値税・消費税が全額かかる | 直送と同じ(1回5,000元、1人あたり年間26,000元) |
| よい点 | 初期投資を抑えられ、小規模から始めやすい | 中国国内から発送するため、リードタイムを大幅に短縮でき、配送料も抑えられる |
| 注意点 | 個人物品として申告するルートは、越境ECの優遇の枠組みとは別 | 在庫管理や倉庫費用などの固定費が発生する |
直送モデル(BC)の通関と税制
直送モデルとは、日本の倉庫などから注文の都度、国際郵便や国際宅配便(EMSなど)を使って中国の個人消費者へ直接商品を発送する方式です。初期投資を抑えられ、小規模から始めやすいのがメリットです。
中国の個人あての荷物には、税関への申告のしかたによって主に2つのルートがあり、どちらを使うかで税金や手続きが変わります。
個人物品ルート(総合税率による簡易課税・通称「行郵税」)
荷物を「個人物品」として申告する方法で、従来の個人輸入に近いものです。現行の「進境物品関税、増値税、消費税徴収弁法」(国務院関税税則委員会公告2024年第11号、2024年12月1日施行)では、税関が個人の合理的な自家用と認めた郵送品のうち、総額2,000元以内のもの、または2,000元を超えても分けられない1点だけのものに、関税・増値税・消費税をまとめた「総合税率」で簡易に課税します。税率は品目別に13%・20%・50%の3段階(進口環節の増値税が3%に減らされる一部の輸入薬品は例外)で、税額が50元以内なら免税です。以前は「行郵税」(入境物品輸入税)と呼ばれていた仕組みで、この弁法でその呼び方はなくなりましたが、税率の水準は維持されています。
ただし、このルートは越境ECの優遇の枠組みとは別で、自家用の範囲を超えると判断されれば一般の輸入として扱われることがあります。天猫国際のような越境ECプラットフォームで販売する場合は、次の「越境EC小売輸入ルート」で通関するのが基本です。
越境EC小売輸入ルート(越境EC総合税の適用)
486号通知は、越境EC小売輸入として扱われる条件を、次のように定めています。
- 「越境EC小売輸入商品リスト」(いわゆるポジティブリスト)に載っている商品であること
- 個人が自分で使うためのもので、越境EC小売輸入の税制の条件を満たすこと
- 税関とつながったプラットフォームで取引され、注文・決済・物流の3つの電子情報(三単)を税関が突き合わせられること(または、宅配・郵便事業者が事業者の委託を受けて同等の情報を税関に送ること)
3つ目の条件にある「三単」は、注文(交易)・決済(支付)・物流の3つの電子情報のことです。税関総署公告2018年第194号3により、輸入申告の前に、プラットフォーム(または越境EC企業の国内代理人)、決済事業者、物流事業者がそれぞれ、国際貿易の「単一窗口」などを通じて税関にデータを送ります。税関はこれを突き合わせて照合します。公式の文書では「三単」の「比対(照合)」と書かれており、業界では「三単対碰」「三単合一」とも呼ばれます。
これらの条件を満たすと、荷物は「越境EC小売輸入品」として扱われ、「越境EC総合税」がかかります。税金は、プラットフォームや物流事業者などが消費者に代わって納めます。
- 適用される税制(越境EC総合税)
1回の取引の上限は5,000元、1人あたりの年間の上限は26,000元です(2019年1月1日〜)。この範囲内であれば、関税が0%、増値税と消費税は本来の税額の70%になります。1回の取引が5,000元を超えても、年間の上限内で注文が1点だけなら越境ECのルートで輸入できますが、その場合は関税・増値税・消費税が全額かかります。
(参考:日本貿易振興機構(JETRO)「中国における越境ECの概要と留意点」JETRO(日本貿易振興機構)4)
保税区モデル(BBC)の通関と税制
保税区モデルとは、商品をまとめて中国国内の「保税区」にある倉庫へ運んで保管し、注文が入ったらそこから中国国内の消費者へ配送する方式です。
- 特徴: 中国国内から発送するため、顧客へのリードタイムを大幅に短縮でき、配送料も抑えられます。一方、在庫管理や倉庫費用などの固定費が発生します。
- 税制: 消費者へ出荷する注文ごとに、直送の越境EC小売輸入ルートと同じ「越境EC総合税」がかかります。取引の上限(1回5,000元、年間26,000元)や税率のルールも同じです。
- 規制の扱い: 486号通知は、直購進口(直送)と網購保税進口(保税区)のどちらの商品も、個人が自分用に輸入する物品として扱うと定めています。
規制違反で起こる3つのリスク
罰金の上限は法律と違反内容で大きく異なり、ポジティブリスト外の商品は越境ECルートでは通関できず、違反の公表は信用失墜につながります。
中国の法律や規制を軽視すると、事業の存続に関わる深刻なリスクやトラブルに発展するおそれがあります。ここでは、代表的な3つのリスクを紹介します。
罰金と営業停止
罰金の上限は、法律と違反の内容によって大きく違います。EC法でいえば、出店者が抱き合わせ販売のルールに違反した場合は最大50万元(第77条)、プラットフォーム運営者が消費者保護や知的財産の保護で必要な措置をとらなかった場合などは最大200万元です(第82〜84条)。品質や虚偽の宣伝などの違反は、製品品質法や広告法など、それぞれの法律にしたがって処罰されます(第85条)。広告法では、「最高級」などの禁止表現(第9条)を使った広告主に20万元以上100万元以下の罰金が科され、悪質な場合は営業許可の取り消しもありえます(第57条)。健康食品広告の禁止事項(第18条)に違反した場合や審査を受けずに広告を出した場合は、広告費の1〜3倍(悪質なら3〜5倍)を基準とする別の罰則になります(第58条)。
通関できない・販売できない
ポジティブリストに載っていない商品や、輸入が禁止されている商品は、越境ECのルートでは通関できません。また、486号通知は、当局が輸入停止を命じた疫病発生地域の商品や、重大な品質・安全上のリスクが出て緊急の対応をとる商品は、注册・備案を求めない扱いの例外になるとしています。返送・処分の手間と費用、配送の遅れによるクレームにもつながるため、出荷前の確認が欠かせません。
ブランドイメージの低下と信用の失墜
規制違反が当局によって公表されたり、SNSで拡散されたりすると、「安全でない商品を売る企業」というイメージがついてしまいます。一度失ったブランドイメージや信用を回復するのは非常に困難であり、長期的な売上不振につながりかねません。
商品カテゴリー別の規制:越境ECと一般貿易で何が違うか
486号通知により、越境EC小売輸入では化粧品や健康食品の初回輸入に伴う注册・備案は不要ですが、広告規制やCCC認証の要否は別に確認が必要です。
取り扱う商品のカテゴリーによって、必要な許認可や注意点は変わります。押さえておきたいのは、486号通知が越境EC小売輸入の商品は個人が自分用に輸入する物品として扱い、初回輸入の許可・注册(登録)・備案(届出)を求めないと定めていることです。一般貿易で必要な手続きの多くが、越境ECでは求められません。ここでは、特に注意が必要な3つのカテゴリーについて、両者の違いを整理します。
化粧品:一般貿易はNMPAへの注册・備案、越境ECは不要
一般貿易で化粧品を輸入して販売するには、化粧品監督管理条例にもとづき、国家薬品監督管理局(NMPA)での手続きが必要です。美白・日焼け止めなどの特殊化粧品は注册(登録)を受けてからでないと輸入できず、普通化粧品は輸入前に備案(届出)をします。
越境EC(直送モデル、保税区モデル)で販売する場合は、486号通知によりこの注册・備案は求められません。ただし、商品は消費者が自分で使うためのもので、転売はできません。また、事業者はプラットフォームと一緒に、購入前に消費者へ「リスク告知書」を示し、同意を得る必要があります。告知書には、商品が原産国の基準に合っていても中国の基準と違う場合があること、中国語のラベルがない場合があり、サイト上で中国語の電子ラベルを確認できることなどを書きます。越境ECでの化粧品・健康食品の扱いは、化粧品・健康食品のNMPA・規制実務もあわせてご覧ください。
健康食品:一般貿易は注册・備案、越境ECはポジティブリストの範囲で販売
一般貿易では、中国の食品安全法により、初めて輸入する健康食品(保健食品)は、国の食品安全監督管理部門での注册(登録)が必要です。ただし、ビタミン・ミネラルなどの栄養素を補う健康食品は、注册ではなく備案(届出)になります(第76条)。注册を担当するのは国家市場監督管理総局で、NMPAではありません(保健食品注册与備案管理弁法 第5条)。また、輸入する健康食品は、輸出国で販売が認められている必要があります。
越境ECでは、ポジティブリストに載っている品目であれば、こうした注册・備案なしで販売できます。「ポジティブリスト」は健康食品の原料のリストではなく、越境ECで輸入できる商品の品目のリストです。自社商品が対象かどうかの調べ方は越境ECのポジティブリスト(正面清単)とはで解説しています。なお、2026年からは、越境ECで食品を販売する海外事業者は、中国国内の食品事業者1社に回収を委託し、その情報を利用するプラットフォームに届け出る必要があります(市場監管総局・商務部 公告2026年第1号)。天猫国際での手続きは天猫国際の越境EC食品規制で解説しています。
注意したいのは、販売の規制と広告の規制は別だという点です。越境ECの健康食品は注册・備案なしで販売できても、「保健食品」として広告し、保健機能をうたえるわけではありません。上海市市場監督管理局5は、越境EC小売輸入の商品について「保健食品の名義で広告宣伝してはならない」と回答しています。商品ページや広告の表現は、別途確認が必要です。
ベビー用品などのCCC認証
おもちゃ、ベビーカー、チャイルドシートなど、強制認証の対象リスト(目録)に入っている製品は、「中国強制製品認証(CCC認証)」を受けて認証マークを付けないと、出荷・販売・輸入ができません(強制性製品認証管理規定 第2条)。一般貿易で輸入する場合は、対象品目かどうかを事前に必ず確認する必要があります。
越境ECの場合、486号通知が求めないとしているのは初回輸入の「許可・注册・備案」で、CCC認証は挙げられていません。486号通知を根拠にCCCが不要になるとは読めず、越境ECなら一律にCCCが免除されるという当局の文書も確認できていません(未確認)。強制性製品認証管理規定がCCCなしで入国できる例として挙げているのは、大使館などの自用品や入国者の手荷物などで、越境ECは挙げられていません(「その他、法律上CCCが不要な場合」という包括的な項目はあります)。対象品目を越境ECで売る場合は、最新のCCC目録を確かめたうえで、出店先のプラットフォーム・通関業者・当局に、認証の要否を事前に確認してください。
越境EC事業開始前のコンプライアンスチェックリスト
越境ECか一般貿易かの販売ルートを最初に決めると、ポジティブリストや許認可など確認すべき項目が定まります。
ここまでの内容を踏まえ、事業を始める前に確認しておきたい項目をチェックリストにまとめました。自社の状況と照らし合わせながら、一つずつ確認していきましょう。
- 販売ルートの決定: 越境ECで売るのか、一般貿易で輸入して売るのかを決めましたか?必要な許認可はこの選択で大きく変わります。
- 事業モデルの決定: 直送モデルと保税区モデル、どちらが自社に適していますか?
- ポジティブリストの確認: 越境ECで売る場合、自社商品がポジティブリストに載っている品目かを確認しましたか?
- 輸入禁止・制限品目の確認: 自社商品が中国の輸入禁止・制限品目に該当していないか確認しましたか?
- 許認可の確認: 一般貿易で売る場合、NMPAへの注册・備案、健康食品の注册・備案、CCC認証などのうち、何が必要かを把握していますか?越境ECでも、成分の規制や認証の要否は事前に確かめましたか?
- 食品の回収体制: 越境ECで食品を売る場合、回収を担う中国国内の受託企業に委託し、プラットフォームに届け出ていますか?
- EC法上の義務の理解: 登録、納税、情報開示、消費者保護といったEC法の定める義務を理解しましたか?
- 広告表現の確認: 商品のキャッチコピーや説明文が、中国の広告法に違反していないかチェックしましたか?
- パートナーの選定: 通関の申告を委託する国内企業、物流パートナー、現地の法律に詳しい専門家は見つかっていますか?
まとめ
本記事では、中国向け越境ECを始めるうえで押さえておきたい法律・規制を整理しました。
いちばん大事なのは、越境ECと一般貿易では必要な手続きが大きく違うという点です。越境ECでは、ポジティブリストに載った商品を個人が自分用に輸入する物品として扱うため、化粧品や健康食品の注册・備案は求められません。その一方で、消費者へのリスク告知、税関への三単の送信、国内の委託先の確保、食品の回収体制など、越境ECならではの義務があります。
中国の規制は頻繁に変わります。電子商務法の改正案も意見の募集を終えて今後の手続きを待つ段階にあり、2026年には食品の回収ルールも加わりました。常に最新の情報を確かめる姿勢を忘れないでください。自社だけで対応するのが難しい場合は、JETRO(日本貿易振興機構)のような公的機関や、中国ビジネスに詳しい専門家の力を借りることも、リスクを避けるための選択肢です。
※本記事は、中華人民共和国電子商務法6、広告法7、消費者権益保護法8、食品安全法9、化粧品監督管理条例10、強制性製品認証管理規定11、商務部など6省庁の通知 商財発〔2018〕486号12、財政部など3省庁の通知 財関税〔2018〕49号13、国務院関税税則委員会公告2024年第11号14(財政部)の原文と、JETROの解説をもとに、2026年10月7日時点の内容に更新しています。
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