【2026年最新】天猫国際の越境EC食品規制 — 中国国内「受託企業」の届出が必須に

【2026年最新】天猫国際の越境EC食品規制 — 中国国内「受託企業」の届出が必須に

天猫国際 越境EC食品規制 2026年 中国国内受託企業の届出

2026年、天猫国際(Tmall Global)で食品・健康食品を扱う越境EC事業者に関わる新しいルールが導入されました。要点は、中国国内に「リコール(回収)の責任を担う事業者」を登録することが求められるようになった、という点です。対応を怠ると、食品カテゴリでの販売継続に影響が出るおそれがあります。本記事では、何が変わり、越境EC事業者として何をすべきかを、天猫国際での販売に絞って整理します。一般貿易での輸入については本記事では扱いません。

何が変わったのか:「中国国内に責任主体を置く」ことが新たに求められる

今回の変化を一言でいえば、これまで越境ECでは必要のなかった「中国国内の責任担当者」を、事業者自身が確保しなければならなくなった、ということです。従来と今後を比べると、違いがはっきりします。

観点従来2026年の新ルール後
商品の扱い「個人自用物品」として国内登録・中国語ラベル等の多くを免除越境ECの枠組み自体は維持(免除は継続)
中国国内の責任主体不要リコール責任を担う「受託企業」の指定・届出が必須
事業者の主な対応商品・通関への対応が中心+ 国内受託企業の確保とリコール体制の整備

従来、越境EC(保税区モデルや海外直送)で食品を届ける場合、その商品は「個人が自分用に購入した輸入品」として扱われ、日本のパッケージのまま販売できました。事業者側に中国国内の常設担当は求められていません。今後はこれに加えて、中国国内で食品事業を営む企業を1社「受託企業」として指定し、リコール対応の責任者として届け出ることが必要になります。天猫国際(Tmall Global)とはもあわせてご覧ください。

新ルールの中身:受託企業の要件と届出

このルールは、中国の市場監管総局・商務部が2026年1月7日に公布した越境EC輸入食品の回収義務と国内受託企業の届出に関する公告と、それを受けて天猫国際が2026年5月15日に公表した実施公告にもとづいています。越境EC事業者の視点で押さえるべきは、受託企業の条件・届出・リコール時の義務の3点です。

天猫国際 規則公示 越境EC輸入食品の回収義務と国内受託企業の届出に関する実施公告 原文
天猫国際の規則公示に掲載された実施公告(2026年5月15日公布)。出典:天猫国際 規則チャンネル(rule.tmall.hk)

受託企業に求められる条件

受託企業には、名義貸しではなく実際に動ける国内事業者であることが求められるとされています。具体的には、次の条件が挙げられています。

  • 中国国内で合法に登記され、独立した法人格を持つ食品事業者であること
  • リコールの通知・情報報告・返品交換の調整・消費者対応を実行できる体制があること
  • 規制当局および天猫国際の監督・確認を受け入れること

届出の手続きと期限

届出は、天猫国際の出店者向け管理画面にあるコンプライアンス関連メニュー(回収の届出に関するモジュール)から行うとされています。提出する情報は次のとおりです。

提出するもの内容
企業名称受託企業の正式名称
統一社会信用コード中国の法人番号にあたるもの
法定代表者受託企業の代表者
連絡先担当者・連絡方法
授権委託書双方の公印を押したもの

期限にも注意が必要です。実施公告の公布日(2026年5月15日)から90日以内とされており、2026年8月中旬ごろが届出の期限と見込まれます。準備には中国国内パートナーとの契約や公印手続きが伴うため、期限から逆算して早めに動くことが現実的です。

リコールが起きたときの義務

受託企業を届け出たあとは、実際に問題が起きたときの対応義務も生じます。求められる対応を場面ごとに整理すると、次のようになります。

場面求められる対応
問題の判明時ただちに販売を停止し、受託企業を通じて回収に着手
24時間以内回収計画(対象商品・ロット・数量、原因、消費者への通知方法など)を天猫国際へ提出
回収の実施中店舗トップページに回収情報を掲示/影響を受けた消費者へ無償の返品交換・補償
費用回収にかかる合理的な費用は越境EC事業者側が負担

物流面の体制づくりについては中国向け越境EC 物流ガイドもあわせてご参照ください。

なぜこの規制が生まれたのか

背景を理解しておくと、今後の運用を読むうえでも役立ちます。越境ECは「個人自用物品」の枠で多くの要件を免除されてきた一方、問題のある食品が出回っても、中国国内で回収や消費者対応を担う責任者がいない、という構造的な空白がありました。利便性の裏返しとして、事故時の責任の所在があいまいになりやすかったわけです。

近年、健康食品(保健食品)分野で「輸入を装った国産品」をめぐる不正や、越境ECで販売された輸入食品の回収事案が相次いで表面化し、消費者保護の観点から回収体制の整備が急務とされる流れになりました。今回のルールは、越境ECの利便性は残しつつ、事故が起きたときの責任の受け皿だけは中国国内に確保させる、という趣旨だと理解できます。中国EC全般の法規制の動向は中国EC 法規制・コンプライアンスでも整理しています。

越境EC事業者への影響と、いま考えるべきこと

では、実際に天猫国際で食品を扱う事業者は何を考えればよいのでしょうか。影響の大きさと、対応の勘所を整理します。

特に影響が大きいのは健康食品

健康食品は食品カテゴリに含まれるため、今回のルールの対象になります。受託企業を確保・届出できない場合、食品カテゴリでの販売継続が難しくなる可能性があり、対応状況によっては出品の制限など店舗運営への影響も指摘されています。ただし、処分がどこまで及ぶか(該当カテゴリに限られるのか、店舗全体に及ぶのか)は運用面で見極めが必要な段階であり、現時点では断定を避けるのが適切です。

対応の鍵は「実際に動ける中国国内パートナー」

対応の中心は、名義だけでなく実際にリコール対応を担える中国国内の食品事業者を確保し、適切な委託契約を結べるかどうかです。自社グループや取引先に条件を満たす中国法人があるか、無い場合はどう手当てするかを、期限から逆算して早めに検討する必要があります。要件を満たす法人を持たないケースも多く、ここが今回の対応で最もつまずきやすい部分といえます。

厳しくなったが、見方を変えれば「先行者の優位」にもなり得る

規制の強化は、短期的には参入障壁の上昇であり、運用負担の増加でもあります。しかし、対応のハードルが上がるということは、裏を返せば、きちんと体制を整えた事業者にとっては、簡単には追随できない競合に対する優位にもなり得ます。回収体制まで含めて信頼できる運営を示せることは、中国の消費者にとっても、モール側にとっても評価される要素です。規制対応を「コスト」とだけ捉えず、信頼の裏付けとして使う発想も有効でしょう。

一方で、正直に申し添えておきたいのは、中国の規制は運用の細部が後から固まったり、解釈が変わったりすることが少なくない、という点です。今回のルールも、施行後の運用次第で、求められる対応が変化する可能性があります。確定したかに見える情報も鵜呑みにせず、最新の公告と実際の運用を継続的に追うこと、そして変化に合わせて柔軟に体制を見直すことが欠かせません。

まとめ

2026年の越境EC食品の新ルールは、「中国国内にリコール責任を担う受託企業を置き、届け出る」ことを軸とした変化です。従来は不要だった国内の責任主体が求められるようになった、という点をまず押さえたうえで、期限(実施公告の公布から90日以内、2026年8月中旬ごろとされます)から逆算して、受託企業の確保・届出・回収体制の整備を進めることが求められます。特に健康食品を扱う事業者は影響が大きく、早めの検討が安全です。

こうした規制対応は、商品の販売だけに集中したい事業者にとっては負担の大きい領域です。エフカフェでは、天猫国際への出店から日々の運営、そして今回のような規制変更への対応まで、日本語でご相談いただける体制を整えています。「自社だけで対応しきれるか不安」という段階でも、まずは現状の整理からお手伝いできます。

※本記事は、市場監管総局・商務部が2026年1月7日に公布した公告、および天猫国際が2026年5月15日に公表した実施公告(rule.tmall.hk)にもとづき作成しています。手続きの詳細・期限・対象範囲は今後の運用で変更される可能性があるため、最新の公式情報をあわせてご確認ください。

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