中国越境EC市場動向
【2026年】中国「618」商戦とは?仕組み・ダブル11との違い・越境ECでの活かし方
この記事の要点
618は京東の創業日に由来し、主要なプラットフォームが参加する中国・上半期最大の商戦です。
- 日程:数週間にわたって続き、日程はプラットフォームと年で異なります。2026年の天猫は5月21日〜6月21日でした。
- 双11との差:星図数据の2025年の集計では、ダブル11は618の約1.9倍の規模でした。集計期間の長さは異なります。
- 備え方:数か月前からの準備と、商材に合ったプラットフォーム選びが大切です(当社の考え方です)。
規模の比較は、星図数据(Syntun)の集計によります。
「618(ロクイチハチ。中国語では六一八/リウ・イー・バー)」は、中国で毎年6月に行われる大型セール商戦です。秋の「ダブル11(11月11日)」と並ぶ二大商戦のうち、上半期最大のイベントにあたります。中国向けに越境ECを行う日本ブランドにとっては、年間計画を組むうえで外せない時期です。本記事では、618とは何か、いつ・どう行われるのか、ダブル11との違い、そして日本ブランドが越境ECでどう備えるべきかを、基礎から整理します。
618とは — 京東の創業日に由来する上半期最大の商戦
618は、中国EC大手の京東(JD.com)の創業日「6月18日」に由来します。京東の公式解説によると、同社は1998年6月18日に創業し、毎年6月を「店庆月(創業記念月)」として大型の販促を行い、6月18日を最も値引きの大きい日としてきました(出典:京東「618是什么日子」)。もとは京東の創業記念セールでしたが、規模の拡大とともに他社も参戦し、いまでは天猫・淘宝(アリババ)、京東、抖音(Douyin)、拼多多(PDD)、快手、小紅書(RED)など主要プラットフォームがそれぞれの日程で値引きを行う、中国・上半期最大の商戦へと発展しました。
名前の由来は京東ですが、現在は中国EC全体のイベントとして定着しています。日本の「年末商戦」のように、特定の1社のものというより、業界全体の季節イベントだと捉えるのが実態に近いでしょう。
618はいつ? — 約1か月にわたる長期商戦
「618」という名前から6月18日の1日だけと思われがちですが、実際には5月中旬〜下旬から6月中旬〜下旬まで、数週間にわたって展開されます。開始日と終了日はプラットフォームと年によって異なり、たとえば2026年の天猫は5月21日〜6月21日でした(星図数据の集計期間は、2025年が5月13日〜6月18日)。天猫の2026年の例で流れを見てみましょう。
この長期化には背景があります。長期化の狙いについては、物流の負荷を分散させる、会期を延ばして売上を積み増すといった見方があります(当社の見立てで、プラットフォームの公式説明ではありません)。一方で、期間が長くなるほど「いつが底値か」が分かりにくくなる面もあります。
ダブル11(双11)との違い
中国の二大商戦である618とダブル11(双11/中国語:双十一 shuāngshíyī・シュアンシーイー)は、しばしば比較されます。発祥のプラットフォームと時期、そして規模が主な違いです。規模は、調査会社の星図数据(Syntun)が主要EC(総合EC・コンテンツEC)について集計した数字で比べると分かりやすいでしょう。
| 項目 | 618 | ダブル11(双11 / W11) |
|---|---|---|
| 発祥 | 京東(JD.com)の創業日 | アリババ(天猫)が主導 |
| 時期 | 5月中旬〜6月中旬(上半期) | 10月上〜中旬〜11月中旬(下半期)。2025年は京東・抖音が10月9日、天猫が10月15日20時に開始 |
| 位置づけ | 上半期最大の商戦 | 年間最大の商戦 |
| 規模(2025年・主要EC) | 8,556億元(5月13日〜6月18日) | 1兆6,191億元(10月9日〜11月11日)。618の約1.9倍 |
出典:星図数据(Syntun)の集計。618はSyntun「2025 "618" Promotion Report」、ダブル11は南方都市報(2025年11月12日)。即時小売などを含む全体では、2025年のダブル11は1兆6,950億元でした。集計期間の長さが両者で異なる点に注意してください。なお2026年の618は、主要ECで8,636億元と前年並みでした(出典:聯合新聞網が報じた星図数据の発表。2026年の集計期間はこの報道では確認できませんでした)。ダブル11の開始日の出典:界面新聞(2025年10月15日)。
ざっくり言えば、ダブル11が「年間最大の本番」、618が「上半期の中間決算的なヤマ」という関係です。どちらも主要なプラットフォームが参加しますが、618は発祥の経緯から京東が、ダブル11は天猫が、それぞれ象徴的な存在になっています。中国ECプラットフォーム全体の違いについては中国ECプラットフォーム比較もあわせてご覧ください。
どこで行われる? — 主要プラットフォームの性格
618は主要なプラットフォームがそれぞれの日程で行い、得意分野や客層も異なります。日本ブランドが越境ECで参加する場合、自社の商材に合った場所を選ぶことが第一歩になります。
| プラットフォーム | 性格・強み | 日本ブランドの主な参入ルート |
|---|---|---|
| 天猫・淘宝(アリババ) | 流通規模が大きい。ブランドの信頼感。美容・化粧品・食品に強い | 天猫国際(Tmall Global)。運営をTP(認定パートナー)に委託する方法もある |
| 京東(JD) | 自社直販・物流に強み。家電・3C | 京東国際(JD Worldwide) |
| 抖音(Douyin) | ライブコマース主体。コスメ・トレンド商品・若年層 | 出店方法・条件は個別に確認 |
| 小紅書(RED) | 「種草」による購買意欲の形成 | 種草を起点にしたマーケで併用 |
日本ブランドにとって入り口になりやすいのは、ブランドの世界観を保ったまま販売できる天猫国際(Tmall Global)です。プラットフォームごとのプロモーション設計の考え方は中国EC プロモーション戦略で詳しく解説しています。
日本ブランドは618にどう備えるか
618は上半期で最も需要が集中するタイミングです。日本ブランドでは、スキンケア・美容、健康食品、ベビー・マタニティ、生活雑貨などが競争力を持ちやすいカテゴリとされています。準備は当日から逆算して、数か月前から動くのが基本です。以下は当社が支援する中での目安です。
- 2〜4か月前:出店・参加の申請(審査に時間がかかるため早めに)。
- 2〜3か月前:KOL・ライブ配信枠の確保と「種草」の開始。露出は直前では押さえられないため先行手配が要。
- 1〜2か月前:商品ページの中国語化、在庫体制の確定(保税倉庫を使うか、国際直送で対応するか)。
- 1か月前:割引率・クーポンの設計。競合との比較を踏まえて決める。
- 物流の備え:618期間は注文が平常時より大きく膨らむため、倉庫の処理能力を事前に確認しておく。
あわせて、カテゴリ固有の規制の確認も欠かせません。越境EC(跨境電商零售進口)の商品は「個人が自分で使う輸入物品」として扱われ、初めて輸入するときの許可・登録・届出(化粧品のNMPA登録や、保健食品のいわゆる「蓝帽子」など)は求められません(出典:商務部ほか「跨境電子商務零售進口監管の完善に関する通知」(商財発〔2018〕486号))。一方で、扱える商品は越境ECの商品リストの範囲に限られ、広告表現のルールもかかります。一般貿易で中国国内に流通させる場合は、商品の区分に応じてNMPAへの登録または届出(化粧品)や、保健食品の登録または届出などが必要になります。中国向けの規制全般は中国EC 法規制・コンプライアンスを参照してください。
まとめ — 「今年の618はどうだったか」は別記事で
618は、京東の創業記念日に由来し、いまでは主要なプラットフォームが参加する中国・上半期最大の商戦です。期間は数週間に及び、日程はプラットフォームごとに異なります。ダブル11が年間最大の本番なら、618は上半期最大のヤマにあたります。日本ブランドにとっては、数か月前からの準備と、商材に合ったプラットフォーム選びが大切です(当社の考え方です)。
なお、618の「規模」や「勝ち負け」は年によって大きく変わります。直近の2026年の618がどのような結果だったか、そして近年どう変化してきたかは、【2026年】中国618商戦の結果とトレンドで、検証済みのデータをもとに整理しています。あわせてご覧ください。