抖音(Douyin)越境ECの始め方と費用を完全ガイド
抖音(Douyin)越境ECの始め方と費用を完全ガイド
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目次
「巨大な中国市場で自社商品を販売したい」「Douyinのライブコマースで売上を伸ばしたい」
国内市場の成長に限界を感じ、新たな販路として中国のDouyin(抖音)に注目している企業担当者の方は多いのではないでしょうか。Douyinは単なるショート動画アプリではなく、強力なECプラットフォームとしての顔を持っており、多くの日本企業が越境ECを通じて成功を収めています。
しかし、いざ参入を検討しようにも、「TikTokと何が違うの?」「出店方法や費用は?」「中国語ができないと無理?」といった疑問や不安がつきまといます。
この記事では、国内ECの経験はあるものの、Douyinや中国の越境ECについては詳しくないという担当者様に向けて、Douyin越境ECの基本から具体的な出店方法、費用、成功のポイントまでを網羅的に解説します。この記事を読めば、Douyin越境EC参入の全体像を掴み、具体的なアクションプランを立てられるようになります。
抖音(Douyin)越境ECとは
Douyin(抖音)越境ECとは、中国版TikTokである「Douyin」のプラットフォームを利用して、日本にいながら中国の消費者に向けて商品を販売する仕組みのことです。
ユーザーはショート動画やライブ配信を見て興味を持った商品を、アプリ内でシームレスに購入できます。この「見ながら買う」という体験が爆発的な購買力を生み出しており、従来の検索型ECとは一線を画す販売モデルとして注目されています。
日本企業がDouyinで越境ECを行う場合、主に**「抖音電商全球購(Douyin EC Global)」**という仕組みを利用することになります。
TikTok Shopとの違い
多くの人が混同しがちなのが、DouyinとTikTokの関係です。これらはどちらもByteDance社が運営していますが、サービスが提供される国やEC機能が全く異なります。
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つまり、中国市場に商品を販売したい場合はDouyin、それ以外の国(日本を含む)に販売したい場合はTikTok Shopを利用する、という明確な違いがあります。
主要EC機能「抖音電商全球購」の仕組み
抖音電商全球購 (Douyin EC Global)は、海外企業が中国の法人を設立することなく、自国の法人格のままDouyinに出店できるプラットフォームです。これにより、日本企業は中国市場参入のハードルを大きく下げることができます。
基本的な仕組みは以下の通りです。
- ・出店申請: 日本の法人情報で「抖音電商全球購」に出店を申請します。
- ・ストア開設: 審査に通過すると、Douyin内に自社のオンラインストア(旗艦店など)を開設できます。
- ・販売・プロモーション: ショート動画やライブ配信で商品を宣伝し、視聴者はアプリ内のストアページから直接商品を購入します。
- ・物流: 商品は日本の倉庫から国際郵便で直接購入者に発送するか、中国の保税区倉庫に事前に在庫を送り、そこから発送します。
- ・決済: 購入者はAlipayやWeChat Payで支払います。売上はプラットフォームを通じて米ドルで日本の銀行口座に送金されます。
この仕組みにより、日本にいながらにして、巨大な中国市場の消費者に直接アプローチし、商品を販売することが可能になります。
(参考:抖音電商全球購 公式サイト https://jp.b.guantou.com/)
抖音越境ECのメリットと注意点
Douyin越境ECには大きな可能性がありますが、参入前にメリットと注意点の両方を理解しておくことが重要です。
メリット
- ・圧倒的なユーザー数とエンゲージメント: 8億人以上のデイリーアクティブユーザーに直接アプローチできます。コンテンツとの親和性が高く、ユーザーの購買意欲を刺激しやすいのが特徴です。
- ・高いコンバージョン率: ライブコマースやショート動画による「衝動買い」を誘発しやすく、従来のECサイトよりも高いコンバージョン率が期待できます。
- ・中国法人不要で参入可能: 「抖音電商全球購」を利用すれば、日本法人のままで出店できるため、現地法人設立に比べてコストと時間を大幅に削減できます。
注意点
- ・独自の文化とトレンド: 中国のユーザーに響くコンテンツを作成するには、現地のトレンドや文化、好みを深く理解する必要があります。日本のやり方がそのまま通用するとは限りません。
- ・激しい競争環境: 多くの国内外ブランドが参入しており、競争は非常に激しいです。成功するには、継続的なコンテンツ投稿や広告投資、KOL/KOCとの連携といった戦略的な運用が不可欠です。
- ・複雑な物流・法規制: 越境EC特有の物流(直送・保税区)や、化粧品・食品などカテゴリごとの許認可、禁輸品に関する知識が求められます。
抖音越境ECの出店方法4ステップ
Douyin越境ECの出店は、以下の4つのステップで進めるのが一般的です。
1.出店資格と必要書類の準備
まず、出店に必要な資格を満たし、書類を準備します。日本企業の場合、主に以下のものが必要です。
- ・法人資格: 日本で登記された法人であること。
- ・商標情報: 販売するブランドの商標登録証(TM標またはR標)。自社ブランドでない場合は、ブランドからの正規販売授権書が必要です。
- ・必要書類(要スキャンデータ):
- ・会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
- ・代表者のパスポート
- ・海外銀行口座情報(米ドル決済が可能な口座)
- ・商標登録証またはブランド授権書
これらの書類は事前にデジタルデータ(スキャンデータ)で準備しておくと、申請がスムーズに進みます。
2.公式プラットフォームへの申請
書類が準備できたら、「抖音電商全球購」の公式サイトから出店申請を行います。基本的には中国語のインターフェースですが、翻訳ツールを使いながら進めるか、専門の出店代行パートナーに依頼するのが確実です。
申請プロセスでは、企業情報、ブランド情報、販売カテゴリなどを入力し、準備した書類データをアップロードします。
3.保証金の支払い
申請が承認されると、プラットフォームから保証金(デポジット)の支払い通知が届きます。この保証金は、消費者保護やルール違反時のペナルティのために預けるもので、退店時には返金されます。
指定された方法で保証金の支払いを完了させます。金額は販売する商品のカテゴリによって異なります。
4.ストア開設と商品登録
保証金の支払いが確認されると、正式にストアが開設されます。ストアの基本設定(ロゴ、デザインなど)を行い、販売したい商品を登録していきます。商品情報(画像、説明文、価格など)は中国語で作成する必要があります。
ここまで完了すれば、いよいよDouyinでの販売を開始できます。
抖音越境ECに必要な費用一覧
Douyin越境ECを始めるには、主に「初期費用(保証金)」と「運営費用(プラットフォーム手数料)」がかかります。
初期費用と保証金
出店時に一度だけ支払う費用として保証金があります。これは前述の通り、退店時に返金される預け金です。金額は販売する商品のメインカテゴリによって異なり、一般的に2,000ドルから10,000ドル程度が目安です。
例えば、化粧品やアパレルなどの人気カテゴリでは、比較的高めの保証金が設定されています。
(参考:JETRO「中国ECの最新動向(2023年7月)」)
プラットフォーム手数料
商品が売れるたびに発生する費用が**プラットフォーム手数料(販売コミッション)**です。これも商品のカテゴリによって料率が異なり、売上の1%〜10%程度が一般的です。
- ・化粧品: 5%前後
- ・アパレル: 5%〜8%
- ・食品・健康食品: 2%〜5%
これらの料率は変更される可能性があるため、出店時に必ず最新の情報を公式サイトで確認してください。この他に、決済手数料や広告費、物流費などが別途必要になります。
出店成功の鍵となる3つの集客方法
Douyinで商品を販売するには、ただストアを開設するだけでは不十分です。Douyinならではの集客方法を駆使して、ユーザーに商品を知ってもらい、興味を持ってもらう必要があります。
ライブコマース
ライブコマースはDouyin ECの最も強力な販売手法です。リアルタイム配信で商品の魅力を伝え、視聴者とコミュニケーションを取りながら販売します。インフルエンサー(KOL)を起用した大規模なライブ配信は、一夜で数億円を売り上げることも珍しくありません。自社アカウントで定期的にライブ配信を行い、ファンを育成していく方法も有効です。
ショート動画コンテンツ
日常的な集客の柱となるのがショート動画です。商品の使い方を紹介するハウツー動画、製造過程を見せる裏側動画、ユーザーのレビューをまとめた動画など、様々な切り口でコンテンツを作成し、継続的に投稿します。商品の魅力を短い時間で伝え、ユーザーをストアページやライブ配信へ誘導することが目的です。
KOL/KOCマーケティング
中国市場では、インフルエンサーである**KOL (Key Opinion Leader)や、より消費者目線で発信するKOC (Key Opinion Consumer)**の影響力が絶大です。自社ブランドや商品と親和性の高いKOL/KOCに商品を提供し、ショート動画やライブ配信で紹介してもらうことで、ブランドの認知度と信頼性を一気に高めることができます。
日本企業の出店成功事例
多くの日本企業がDouyin越境ECで成功を収めています。
例えば、ある日本の化粧品ブランドは、中国で人気の美容系KOLと提携し、ライブコマースを実施。KOLが実際に商品を使用しながらその効果やテクスチャーを詳細に解説したことで、ライブ配信中に数万個の商品を完売させました。
また、別のアパレルブランドは、日本の店舗スタッフがモデルとなり、様々なコーディネートをショート動画で毎日投稿。日本のトレンドや着こなし方を提案することで多くのファンを獲得し、安定した売上を確保しています。
これらの事例に共通するのは、プラットフォームの特性を理解し、中国のユーザーに響くコンテンツを戦略的に提供している点です。
まとめ
本記事では、Douyin(抖音)越境ECの基本から、具体的な出店方法、費用、そして成功の鍵となる集客方法までを解説しました。
- ・Douyinは中国市場向けの強力なECプラットフォーム
- ・日本法人のまま「抖音電商全球購」で出店可能
- ・出店には資格審査と保証金(2,000ドル〜)が必要
- ・成功にはライブコマースやショート動画など、コンテンツ活用が不可欠
Douyin越境ECは、巨大な中国市場への扉を開く大きな可能性を秘めています。しかし、その成功には独自のプラットフォームへの深い理解と戦略的なアプローチが欠かせません。
この記事が、あなたの会社の中国市場進出に向けた第一歩となれば幸いです。より具体的な出店手続きや運用戦略については、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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