アリババが天猫国際(Tmall Global)のリアル店舗をオープン。オフライン展開の狙いとは?
中国・杭州に誕生した天猫国際(Tmall Global)の実店舗のレポート (vol.33)
アリババは2018年4月20日、天猫国際(Tmall Global)の越境ECリアル店鋪の1号店を杭州にオープンしました。オンラインの商品を直接確認でき、スマホでQRコードをスキャンするだけで決済が完了します。今回は店舗の様子をレポートします。
商品情報の閲覧も決済もQRコードで
1号店があるのは杭州西湖銀泰モール。およそ300平方メートル弱のフロアに、 天猫国際(Tmall Global)の売れ筋商品が1,100アイテムほど並びます。
商品価格はもちろんオンラインと同じです。オープンは2018年4月20日ですが、1月31日からテスト運用を開始していました。
天猫国際(Tmall Global)のリアル店鋪 1号店の様子
※ 微博(weibo)に投稿された天猫国際の投稿動画よりキャプチャ(動画はこちら)
店頭に設置されている検索モニター。商品のQRコードをこの検索モニターでスキャンすると、商品の詳細情報やレビューを閲覧できる。店舗の入り口にサンプルを自動で配布する機械も配置されており、QRコードのスキャンでサンプルを受け取れる
淘宝(Taobao)アプリで商品のQRコードをスキャンすれば決済完了
商品は基本的には自宅への配送。店舗から5km圏内なら、14時までに購入すれば当日着が可能です。一部、持ち帰りが可能な商品の場合、決済してから数分で商品を受け取れます。
さらなる顧客創出のための実店舗展開
この店舗に続く2号店は、アリババ西溪園区のモールに出店する予定。さらに深センや寧波など、保税区のある地域での展開を予定しているそうです。
アリババがこのような動きをするようになった背景には、日本などへの旅行の際に起こっている「爆買い」を、中国国内での消費にシフトさせたいという狙いがあると考えられます。
天猫国際の代表・奥文氏は次のようにコメントしています。
中国国内の消費を活性化させるために、3つのステップがあると考える。
- 商品が「ない」状態から「ある」段階へ
2014年に越境ECサービス天猫国際を開設し、一般貿易では輸入できなかった商品の流通ルートを確立した。90%以上がこれまで中国国内に輸入できなかった商品。- 商品が「ある」から「商品数が多い」段階へ
現在、天猫国際では63か国、3,700カテゴリー、14,500ものブランドを取り扱うまでになった。- 「商品数が多い」から「質や精度の高い商品、サービスがある」段階へ
ユーザーに対してさらに消費を促すために、購入体験、サプライチェーン、物流、配送に力を入れる。今回のリアル店舗での販売もその一環。
中国の保税区では、数年前からこのようなモデルが模索されてきました。しかし、今のところ成功を収めている保税区はほとんどありません。中国のEC化率は約20%。つまり、アリババは80%のリアルな小売市場に切り込みをかけたと言ってもいいでしょう。
今回この分野にアリババが参入したことで、どれだけ風穴を空けられるのか、大変興味深いところです。
※こちらは、「ネットショップ担当者フォーラム」に寄稿している記事の転載になります。